赤井都さん、豆本世界の実力者として読売新聞に
赤井都さん、芥川賞受賞作家なみに、メディアに取り上げられる。稲垣タルホが好きで、自作品も影響がみられる。その内容の豆本で文芸的にも高度なのが強み。
【「豆本の聖地」高円寺~喫茶店で常設販売】
小さな本に豊かな世界が広がる 「豆本」は手のひらにすっぽり収まる、かわいらしい本のこと。ミニチュアと侮るなかれ。ページをめくれば普通の本にひけをとらない物語の世界が広がる。杉並・高円寺は、知る人ぞ知る「豆本の聖地」だ。書店のように豆本を並べて売っている喫茶店やギャラリーがあり、豆本作家たちが新作を持ち寄っている。(大木隆士)
豆本は縦数センチ。字の大きさは一般の本と変わらないものが多いので、虫眼鏡なしで読める。一話完結の超短編だが、力作に当たると、読み応えは十分だ。
JR高円寺駅北口、商店街の中にある喫茶店「茶房 高円寺書林」(杉並区高円寺北)。店舗の一角にある豆本コーナーには、表紙が木や布でできたもの、金箔(きんぱく)を施したものなど、多彩な装丁の豆本が並ぶ。ジャンルも翻訳ものからファンタジー、詩集、イラスト集とにぎやか。
1000~2000円のものが中心だが、100円で手に入る「ガチャガチャ」もある。お客の中心は20~30歳代の女性。「昔読んだことがあると懐かしむ高齢のお客さんもいる」と、店長の原田直子さん(58)は話す。
1960年代末には、ウイスキーPR用の豆本セットが発売され、評判になったことも。かつては書店でも売られていたが、今では、イベントや企画展が中心。街ではめったにお目にかかれない。高円寺書林は、一昨年開いた豆本の企画展をきっかけに、販売を始めた。ウワサを聞いた各地の豆本作家が、新作を持ち寄るようになった。
その中の一人、赤井都さん(38)は若手の実力派だ。世界的に権威のあるコンテストの最優秀賞を、2006、07年に、続けて受賞している。赤井さんの豆本は3月、駅に近いギャラリーショップ「ノラや」(高円寺南3)にも販売コーナーができた。「手の中で包むようにして読むと、安らぎを感じる。たくさんの人に魅力を知ってほしい」と赤井さんは願っている。4月27日には、「ノラや」の本店で、赤井さんを講師に、豆本製作の初心者向けワークショップも開かれる(材料費など4500円、定員12人)。(電)5378・0774。(2008年4月4日 読売新聞)
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