太宰治の旧制高校時代自筆ノート発見
自画像とみられる似顔絵やペンネームの書き込みがある太宰治の旧制高校時代のノート 故郷・青森県を題材にした作品を残した太宰治(1909~48年)が旧制弘前高校時代に使っていた自筆の大学ノート(A4判)2冊が見つかり、青森県近代文学館(青森市)は、全ページの写真を収録した資料集を刊行した。
「英語」(1年時)と「修身」(2年時)の2冊で、ペンネーム「辻島衆二」も書かれ、自画像とみられる似顔絵などの落書きも多数ある。全ページが公開されるのは初めて。
太宰は同県五所川原市(旧金木町)出身。1927年春に旧制弘前高校に入学し、東京帝国大学文学部仏文科に進学するまでの3年間在学した。
発見された2冊は、いずれも裏表紙まで使われている。「修身」のノートには、本名の「津島修治」のほか、太宰が当時主宰した同人誌で使っていた「辻島衆二」も書かれている。「英語」のノートの余白には、これまで存在が知られていなかった詩のような文章も見つかった。同館によると、こうした文章は、学期が進むごとに増え、成績が落ちた時期と一致するという。 資料集に解説を寄せた安藤宏・東京大学准教授(日本文学)は、「高校時代の太宰の姿を知る貴重な資料で、後の太宰文学につながる自意識の強さがうかがえる」としている。
資料集は1冊1200円。問い合わせは、同館(017・739・2575)へ。(08年4月1日, 読売新聞)
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