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2008年4月23日 (水)

詩の紹介  「曇天」 井手ひとみ

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(紹介者 江 素瑛)
 「晴時々曇り」と、さまざまな天気予報の映像がよぎる。まさしく人の日常は、変化多端な気候の如く。曇った後は晴れてくると望むが、しかし、曇った後に暴風雨にならないとは限らない。収束がつかなくなるかも知れない。風の中を幾度も姿勢を直して飛行を試す。見えない太陽を向かって飛ぶ白い鳥、人生は繰り返し挑戦するしかない。
「午後のシネマクラブ」を執筆している作者の、ドラマ色の濃い作品です。
              ☆
         「 曇天 」   井手ひとみ

二月の曇天に/二羽の白い鳥が/かさなりあうように飛んでいく/雲のむこうには/太陽がぼんやりと輪郭を映していて/鳥たちは低く高く飛び/やがて見えなくなった

背後でクラクションが鳴り/せかされるように車は前に出る/私は助手席で/窓の向こうの川を見る

私たちのいさかいは激しくなり/終わるきっかけをなくしていた/私たちは/羽の代わりに口を激しく動かし/二人の間の距離はどんどん離れていくのだった/川面に濃い霧が出ている/道を覆い尽くして行く手を阻むかのように/白い緞帳が切って降ろされ/私たちは終わらない芝居の下手な役者だった

拍手は、起こらない

雲の合間にもういちど二羽の鳥たちが見える/いまいっしんに飛ぶ/見えない太陽にむかって

08年4月No.139 詩誌「さちや」(岐阜市)

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