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2008年4月12日 (土)

イントロ紹介=「騒」73号を読む

高度な詩やエッセイ、表紙デザインの詩人による同人誌である。73号は、原満三寿「金子光晴詩集『三人』から『若葉のうた』を貫くもの」から、書き出しを読む。
           ☆
金子光晴と、森三千代も、森乾の家族三人が戦中の疎開先である山中湖畔で紡いだ私家版の合同詩集『三人』が発見された。そのことが2007年8月17日の朝日新聞の社会面に載るや大きな反響があった。まず講談社の「群像」(9月号)が特集を組んでその一部を紹介し、ついで詩集「三人」(08年1月)として刊行された。さらにNHKがETV特集「父とチャコとボコ」(08年1月20日)を放映した。
 そのいずれにも幻の詩集の発見者としてわたしが解説などで関った。その全容は、講談社の詩集「三人」とその解説を読んでもらえばわかることなのであるが、表題の件については、わたしの解説では暗示的に指摘しただけで詳述できなかったので、いささか述べてみたい。
 詩集「三人」のなかの詩「三点」の節には、こんな箇所がある。

 三点をつなぐ大きな円は
 地球いっぱいにひろがった

 三点をつなぐ円とは、光晴と三千代と乾によって描かれる大きな絆の輪のこと。「この大きな輪が地球いっぱいにひろがった」ということは、空間的にとらえると、家族から隣人に、そして光晴が愛して止まなかった東南アジアの人々に、そして世界全体にひろがり、つまり子から孫へとつながってゆく家族愛のことなのである。(以下さらにつづく)

雑誌「騒」発行所=194-0032町田市本町田3486-1-204「騒の会」。

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