詩の紹介 短詩選 作者 江原 茂雄
(紹介者 江 素瑛)
☆
「 しゃっくり」
おれがおれに
びっくりしてるんだ
ひとには意識と潜在意識で、多少違う性質の人格が持っている。水面下に隠れる二重人格のようなものである。しゃっくりするとき、きっと水面下の人格がにゅっと頭を出しているのだ。
☆
「 秋 」
葉が落ちる
落ちることによって
世界を美しくしている
葉が落ちる、美しく悲しく死んでいる。なぜか、樹木が1年の眠りに入っていくだけなのに、死を感じるほど哀愁がある。人間の死と同じに感じる秋のひと時。人は死んで世界を美しくすることがあるのか。どこかで、いまも血を流し合う人々よ。
☆
「 将棋と人生 」
なるほどそういう手もあるか
さんざん思案した末の一手もあれば、考えずに思わず指してしまった一手もある。人生の道はそれぞれ、どんな手でもローマに通るのだ。
2008・3 「眼」21号より(世田谷)「眼の会」。
| 固定リンク
コメント