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2008年3月 6日 (木)

同人誌「季刊遠近」第33号(東京)作品紹介

【「ハンモックのある庭」難波田節子】
英国に渡って、マイケルと結婚した日本人女性の「私」が主人公。ロンドンで10年程暮らしたあと、夫のマイケルの希望で、とある田舎町に引っ越す。マイケルは気晴らしのない「私」に気を使ってくれて、リラックス用のハンモックをプレゼントしてくれるが、興味を示せず倉庫に入れてしまう。
「私」は信仰心の厚い近隣の人々と早く親しくなろうと努力するなかで、太平洋戦争中に日本軍の捕虜となり、ビルマ鉄道の労役で死んだらしい人の家族の憎しみに出会う。そのなかで、町の人々の理解を得て、催事の大きな役割をもらって彼らにとけこんでいく努力の様子を描く。英国の田舎町と風土がすっきりとした文体で表現され、流れも自然で面白い。夫のとの関係の様子が物足りないが、短編としてのまとまりのため省略はやむを得ないかも。巧さに感心する。

【「手賀沼は本当にきれいになったか」北大井卓午】
千葉県我孫子市に手賀沼はあり、かつては水の汚れの全国ワーストベストテンに入るほど汚染されていた。しかし、現在は見違えるようにきれいになった。
これはその市民活動者からの視線から市政の状況を描く。主人公は、シニア情報アドバイザーの資格をもち、パソコン教室を開いており、そのなかの交流のなかで、市会議員の選挙活動ぶりや、市民交流の様子を描く。おそらく現実はもと、相当な要素に満ちていると思われるが、手際のよい取捨選択で、地域市民の一端が活写されている。自分は、同志会員の紹介で、一時期、手賀沼から少し離れている湖北台の「ティ・フォー・トゥ」という喫茶店と熱帯雨林ギャラリーを運営している鈴木さんのところに発行物を置かしてもらいに行ったことがある。そのときに、地元の文芸人で手賀沼学会員の下藤さん達とお話をした。文化人が多いという印象だった。手賀沼マラソンも有名である。我孫子や手賀沼と言えば、志賀直哉など白樺派の活躍の舞台で、そのような風土なのは当然なのかも知れない。大きな整備道路とその脇の曲がりくねった路地とが共存するのどかな町の印象がある。

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