深水黎一郎さん新作『エコール・ド・パリ殺人事件』
(講談社、メールマガジンより)
こんにちは深水黎一郎です。
このたび『ウルチモ・トルッコ』以来10ヵ月ぶりの新作、『エコール・ド・
パリ殺人事件』をお届けできることになりました。今回はタイトルからも想
像がつくかと思いますが、美術ミステリです。 エコール・ド・パリとは、1920年代から40年代にかけて、パリで活躍 した異邦人の画家たちのこと。その世界的コレクションで知られる銀座の一流画廊の画廊主が、密室で刺殺体で発見されるところから物語ははじまります。思い切り<本格>しています。
ところで私は薀蓄系のミステリを読むのが大好きです。物語を愉しみながら、あるジャンルについての体系的な知識を得ることができるからです。良質の薀蓄系ミステリを読むと、一粒で二度美味しいではありませんが、何だかすごく得した気分になります。そこでこの小説では、成功しているかはさておき、本格ミステリをみなさんに愉しんでもらいながら、同時にエコール・ド・パリとその周辺の美術について通暁していただくことを理想としてみました。本格ミステリも美術書(画集)も、それぞれ単独でも需要があるわけですから、一冊でその両方を愉しめる本が作れたら良いな、というのが出発点でした。
本作は、事件に関する通常のミステリ小説の部分と、その被害者が生前に出版したという設定の(架空の)美術書の部分から構成されています。「ミステリの続きを早く読みたい!」という方もいらっしゃるでしょうが、どうか途中の美術書の部分も、飛ばさずに読んでいただきたく存じます。その理由は、最後までお読みいただければわかると思います。今回は、片岡忠彦さんの素敵な装丁を得ることができました。できれば書店で装丁だけでも御覧になってください。
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