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2008年2月18日 (月)

詩の紹介 「思い出の中で」  伊藤昭一

                                (紹介者 江 素瑛)

 祖父の様々な思い出を綴るエッセーにより、祖父が重病で死ぬ前にやっと作者から餅を美味しくい頂いたが、長い間に粥しか与えられなかった、衰弱した祖父の胃は、餅を受け付けなかったかも知れない。夕方に昼間の食べたものが全部吐いて、夜中に死んだという。お通夜を描いた詩。
 貧しい家の貧しい食卓だが、粥しか食べられない祖父は、粥以外のもの、皆と一緒に食べたかったのだ。現代ならどこでも食物が過剰だが、自宅で病人食を作れず、限られた貧しい食べ物で、消化できなかった患者にとっては、餓死とも言えるだろう。
         
  思い出の中でー「通夜」   伊藤昭一
  通夜/重い灰色の雲が/しょぼしょぼと雨を降らせ/「ああ、なみだ雨だね」と言わせ/暗い部屋に、ぼぉっと白い棺/ぼぉぁん みょぅほぅれんげきょぅ/かんぜぉんぼぅさつふもん・・・・/ぼぉぁん/罪悪感を持たなければいけないのだろうか?/いや湧き上がるのは悲しい怒り/人間はこんなにみじめではいけないのだ/生まれて来た以上絶対にこんなではいけないのだ。/ぼぉぁん そくじゅぅざあきへんだんぅぅへん
/白い棺が流れる/時間のうしろへ/白い棺が流れる   
「すがお」 第二号より 昭和37年 発行所 雲の会
          ☆       ☆      
これは文芸同志会主宰の昭一、17歳ごろの作品の一部である。江氏がなぜ載せないと抗議をしてきたので出す。廃棄するつもりで出した過去の古い同人誌を江氏が読んで、抜き出したものだ。この時代には、昭一は自己否定、社会否定、人間否定の気分に取り付かれていて、心の底にそうした憂鬱症状を抱えて、そのまま、社会人になった(防衛庁のレーダーを組み立てる工場の職工であった)。20歳を過ぎてから夜間大学に通うようになり、会社の残業が出来なくなったので、会社から追及され、辞めてアルバイト生活に入った。――表面的には普通に見せながら、内面は暗かった。ただ、それでも自殺をしなかったのは、現状に不満なだけで、我がままな自分が、自分で気に入るような良い境遇にあれば、このような否定的な気分にはならないであろう、という浅はかな自分を意識していたからであろう。これから3年後、マルクスの共産党宣言、経済哲学本を読んで、衝撃を受ける。自分がどうあろうと社会は変化して進む。それじゃ、その社会の変化を観てみようか。そう思ったら勉強がしたくなり大学を受験した。

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