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2008年2月28日 (木)

同人誌「砂」106号の詩を読んで(1)=矢野俊彦

「砂」誌に掲載された、詩作品に評とも呼べない感想を書いてきたが、鶴樹さんのインターネットブログの『文芸同志会通信』に私の拙い文が転載されていた。会員だけでなく、不特定多数に読まれるブログである。心して書かなくてはと改めて思った。
【「砂町」高橋義和】
 灰色の似合う町、砂町。憧れの人が住んでいた町。いつも心の中で世の中に怒っていた青春時代。今はその怒りさえ懐かしい思い出になっている。
【「残暑」「宵 ひとり」「宵 ふたり」高橋義和】
 残暑の駅前広場に黄昏がせまる時刻、己の老いの焦燥感をかすかに感じながら、辛丹波(酒の銘柄) を置く居酒屋に入る。料理は市販品らしいし、辛丹波のお銚子も合わないが、店の雰囲気は悪くない。「残暑」に続く時間として呼んだ。「宵 ふたり」は別な時間、別な居酒屋。息子と二人でカラオケのできる店に行く。息子はサザンの歌を三曲熱唱する。父親の私は、私の世代の歌を歌う。下町の見えない、おじん、おばん、居床寝(うたたね)をするおっちゃんの姿さえ詩の内に捕らえる。
【「季節」 國分 實】
 山の宿での1、晩秋の2、湖の風景からの4、どの章も生の内に内在する死の翳を伝える。とりわけ3章の「冬」に描かれた官能の色彩は強烈です。

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