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2007年12月 1日 (土)

三島由紀夫のメモ発見「あうるすぽっと」で一般公開

三島(本名・平岡公威)が使っていた教科書(右)にはさまれていたメモ 三島由紀夫(1925~70)最後の小説「豊饒(ほうじょう)の海」4部作の第1部の題名「春の雪」と、主人公の姓「松枝(まつがえ)」が、三島自身が10代に書き写した古い歌謡にそのまま出ていることが分かった。

 発見されたのは、三島が学習院高等科1年で使っていた教科書「東洋史概説」にはさんであった、半紙に書かれたメモ。薄い鉛筆書きの達筆な文字で、「松がえかざしにさしつれば/はるのゆきこそふりかゝれ」とあった。歌詞の原典は、平安末期に後白河上皇が著した芸能論「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)口伝集」にあり、該当部分は「梅が枝挿頭に挿しつれば/春の雪こそ降りかかれ」となっており、三島は「梅」の部分を「松」と表記していた。

 「松枝清顕」は、三島の思想の根幹にあった「輪廻転生」を体現する存在で、美貌(びぼう)の令嬢との禁断の恋に生命を懸け、夭逝(ようせい)する。

 東京の古書店が所有する三島の蔵書からメモを見つけた電気通信大学の島内景二教授(国文学)は「三島はこの歌を暗記し、愛唱していたと思うが、美意識に従って本文を変えていた可能性が高い。松の緑の永遠と春の雪の滅びは三島文学のテーマで、若いころの古典、うたへの傾倒に、最後の作品の種子がすでにあったことが見て取れる」と話す。

 この資料や、なぞなぞ、こばなしなどを雑誌から抜き書きした学習院初等科時代の手製の冊子「IRO・IRO」などが、12月5日から16日まで、東京・東池袋の「あうるすぽっと」で一般公開される。
(07年11月26日 読売新聞)

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