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2007年12月 8日 (土)

同人誌「孤愁」第2号(横浜市)

【「林檎の実が熟す頃」豊田一郎】
作者は全作家協会の豊田一郎会長。一人同人誌の2号で本作品のみ掲載の雑誌である。小説は、古代の国家的な形を取り始めたころの共同体における人間模様を描いている。作者のあとがきによると、前作「黒潮に浮かぶ島」「遥かなる日の女神たち」に続く三部作で、混乱と闘争を描いた作品を執筆した後、調和を求める作品が欲しくなりこのシリーズを書いたとある。
 ギリシャ神話を読みそこから調和への発想を得たという。ギリシャ社会というのは、家族的社会と政治的社会との区別がはっきりせず、労働と仕事の区別も明確でない。そこからあのような人間的な神話が生まれたわけである。哲学者が多く存在するが、彼らの生活を支えた筈の奴隷の存在に重きを置かない独特の社会である。都市国家内だけの自由を自由とした特異な社会はある意味で魅力的であるが、それは現代では存在し得ない社会であり、作者はそこにロマンをみたのであろうか。

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