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2007年11月27日 (火)

季刊「農民文学」279号(群馬県)作品紹介

【「彼岸獅子舞の村」前田新】
主人公・津村惣一の村は50戸のうち農家は40戸を数えるが、専業農家は3戸だけになっている。その専業農家以外はすべてが2種兼業の農家となり、農地を手放して農家で亡くなった者が5戸、老齢と転業で農地を委託した者が13戸、死につぶれの空家が1戸、村を出て空き家になった者が2戸、さらに一人暮らしから施設にはいって空家になっているのが1戸、建屋の数はまだ47戸あるが、80歳を超えた一人暮らし、老夫婦だけの家族、それに施設入り空家などの合計が11戸である。
 村の男たちも、40歳を過ぎてもまだ独身の者が5人、離婚をして現在独りでいる者が4人である。
 このような現実のなかで、村に伝わる伝統芸能「彼岸獅子舞」の行事を行おうとするのだが、その相談の村の総会にも人が集まらず、決定すべきことがあっても決まらない。
 淡淡とした筆致で、過疎化、貧困化し、補助制度で借金漬けになり、自殺者まででる経緯を物語る。
面白いとか、どうかという前に、この日本の現実をつきつけられて、身にしみる作品である。

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