同人誌「砂」105号の詩作品寸評(3)
(筆者・矢野俊彦氏)
【「キャバクラ」高橋義和】
居酒屋でキャバクラに勇さんで出かけていく兄ちゃんを暖かく見送る作者、これは心の余裕か、好運に恵まれることはめったにないと知る、経験者の激励か。
【「公園にて」高橋義和】
介護する母を連れて、柔らかい五月の風に包まれた公園にやってきた。そこには若い母親たちが子供を遊ばせている。犬を連れて散歩している男性がいる。命の瀬戸際にいる母の車椅子を押す身には、平凡な日常が輝いて見える一時をとらえて示す。
【「病棟にて」高橋義和】
母を介護する息子の日々を、穏やかに書いているが、どのような葛藤があったことか、葛藤があることか。平穏で安穏な日常が貴重なのだと知らされる。本号の高橋氏の3作品、いずれも作者の筆が暖かいのに救われる。
(注・文芸同人「砂」の会は、会員が全国に散在するために、合評会に参加できない人が多い。そこで、合評会の様子をレポートする他、同人有志が作品寸評を会報に掲載している。11月会報よりの転載したものです)。
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