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2007年11月11日 (日)

同人誌「砂」105号の詩作品寸評(2)


(筆者・矢野俊彦氏)
【「屋根は古里」北川加奈子】
 眼下に広がる屋根を見続け、古里を偲び、若き日の憧れを思う。屋根の下の暮し、その下で繰り広げられる人生にも思いを馳せ、健やかであれと祈る。作者の諦観と祈りを感じさせる。
【「えび」江 素瑛】
 釣り客から貰ったえびが水槽に増えるばかり、その戸惑いと困惑を書く。少し工夫してユーモラスなものにすれば良かった。
【「縁組」江 素瑛】
 一年生の娘が登校中に拾った子猫を、担任の先生が育ててくれた。その娘もいまや大学生。娘と先生の間に流れた歳月を、猫が繋いでくれている。小久保先生の優しい人柄が伝わる。
【「母今日も生きている」江 素瑛】
 詩というより、病院で母を介護する者の叫びである。安全のためにとベルトで拘束され、安定剤を飲まされる医療、医者不足、看護士不足の実態をこうした作品から知らされる。

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