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2007年10月23日 (火)

同人誌「創」第2号(名古屋市)作品紹介(2)

【「松葉杖」安藤敏雄】
太平洋戦争の末期、日本は戦闘機用のエンジンをつくっても、飛行機の本体が調達できないほど、疲弊していたという話から始まる。13歳の脚の悪い学友の滝沢の実家は農家で、まだお米があって、滝沢と一緒に勇治と斉木がそこに買出しに行く。その帰りの列車で、滝沢は松葉杖をついているのを見て、乗客が窓際の席を譲ってくれる。ところが、その後米軍の戦闘機に列車が空襲される。何人かの死者がでたが、その時に、窓際の滝沢は弾にあたり死んでしまっていた。空襲の場面が簡潔ながら臨場感をもって描かれているのが良い。戦争の空しさ、痛ましさと友人を失った無念さが、読者に伝わってくる。

【「ドラッグ」磯部勝】
受験のため予備校に通う真奈美は、あまり勉強が身に入らず、ケイタイばかり使っているので、親から取り上げられてしまう。そんな不満から、出会い系風俗喫茶で、マジックミラーの部屋で、外側から見えるお客の呼び出しを待ち、呼び出されると話相手になる時間性のアルバイトを始める。やがて、それだけで済むわけがなく、男にだまされ、ドラッグ入り飲料をのまされ、体を奪われてしまう。その後、妊娠したのがわかり、何とか家族の目を逃れて、処理をする。それ以後、真奈美はそれに懲りて、人が変わった様に真面目に勉強し、N大薬学部に合格し、ワル娘から孝行娘になるまでの話。純文学的ではないが、話を手際よくまとめている。現代の世間でよくあるような話で、軽く書いて軽く読めるのは、やはり時代の表現になっている、ということであろうと思える。

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