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2007年9月22日 (土)

伊藤桂一師を囲んで作品評をきくことなど

もう2ヶ月ほど前のことだが、同人誌「グループ桂」56号の合評会が秋葉原の区民会館で開催。自分はこのところ作品を発表していないが、参加した。56号の巻頭に、伊藤桂一師の詩「蒲郡風景」が掲載されている。「終戦直後の印象」という(注)があるが、引揚兵の視点で、連合軍に占領された海辺の風景を視るのである。「波マデガ死ンデイルノダ」というフレーズがその心境を示す。

作品評では宇田本次郎「喫茶店『バチスタ』」について、伊藤桂一師は「文章の華麗さ、巧さでは、随一のものがある。その持ち味は発揮されているが、今回は、時々空まわりするところがあり、前作ほどよい出来とはいえない」と語る。物語は、喫茶店の『バチスタ』に出入りする人々の人柄を描きながら、その人生模様をしにじみと語るもので、『バチスタ』とは、映画「天井桟敷の人々」のなかの女性の名だそうである。自分も独自の感性をもった宇田ワールドの作品だが、自分ならこうは書かないというシーンがいくつかあったとした。他のひとたちも、説得力の面で成功しているとはいえない、という意見が多かった。
しかし、宇田さんは、そういうような評価、受取り方をされても、自分では、それなりに思うところを書いたという快心の思いがある、と述べた。この気持ちには、おおいに共感するものがあった。さらに、「本当は、もっと長いものであったのを、同人誌であるので、削りに削ったところがあり、意味が取り難くなったかもしれない」とも語る。たしかに、同人誌は費用や、他の作品とのバランス上、長く書けないということは少なくない。印刷をせず原稿段階の作品を読み合うことも、重要なのではないか。

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