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2007年8月11日 (土)

100歳が書いた戦争 「孫たちへの証言」第20集

 戦争体験者の高齢化が進む中、体験を風化させないために、記憶を記録に残そうとする人たちがいる。毎年、全国から募集した戦争体験記をまとめて出版している「孫たちへの証言」には、刊行20年目で初めて100歳の投稿者が登場した。ロングセラー「ガラスのうさぎ」の著者、高木敏子さん(75)も今月、「ラストメッセージ」と題した手記を出版した。
 大阪市の出版社「新風書房」は全国から戦争体験を募集し、1988年から毎年、終戦記念日前に、「孫たちへの証言」と題した本を出版している。
この20年間で寄せられた原稿は1万3373編、掲載数は1599編に上る。
 今年も第20集(税別1300円)が8月に刊行された。寄せられた347編の中から74編が収録されている。投稿数は昨年並みだったが、90歳以上からの投稿が17編もあったことが特徴。投稿者の平均年齢は77・3歳。親の日記をまとめたり、親や祖父母から聞き書きしたりした原稿も目立った。
 このうち「三十六歳、大連で現地召集され古年兵の餌食に」と題した原稿を寄せた北海道の久保田勇さん(100)は、この20年の投稿者の中で最高年齢。久保田さんは中国東北部で働いていた1944年に召集された。3人の幼い子どもと妊娠中の妻を残して入営。その後、突然済州島に移動させられ、食糧事情の悪い中、穴掘りに従事した。
 本人の原稿と共に、介護に当たるヘルパーが聞き書きした文章も寄せられていて、出版社で一つの原稿にまとめたという。
「戦後62年たっても、1編1編に戦争の苦渋が渦巻いている。『記憶を記録にとどめる作業』を、応募がある限り続けたい」と、「新風書房」社長の福山琢磨さん(73)は話す。来年3月まで募集している第21集の原稿テーマは「記録することで体験は生きつづける」。問い合わせは同社(06・6768・4600)へ。(読売新聞記事より)

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