「文―BUN-」第5号・立命館大学文芸創作同好会(2)
【「抽斗」青菜月】
トタン屋根のアパートに住む母と娘。マンションに住みたいと、やりくりして頭金のお金を貯めたいと努力する。しかし、公団マンションの抽選に外れてしまう。しかたなく、ふと日常生活的には、不相応な高級菓子を買ってしまう。するとこれが得もいわれず美味しい。それ以来、病み付き煮になり、引き出しからは、買いためた高級菓子のよい香が漂うようになる。生活の一点豪華主義になる。
ここには、作品にふさわしい文体がある。同じ内容を、同人雑誌によくある身辺雑記風にしたら、これほどよい出来には成らないと思わせる。何をどのように表現するかをよく考え、創作精神にあふれた作品になっていて、読んで楽しい。
| 固定リンク
コメント