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2007年8月15日 (水)

「頌」(オード)第27号(東京・武蔵野市)

【「ジェスアルドの音楽」杉本暁】
1613年に亡くなったドン・カルロ・ジェスアルドという作曲家についての評論。自分はまったく知らない作曲家であるが、陰鬱なトーンの作風であるらしい。ちょっと聴いてみたいような気にさせる解説と思い入れが、語られている。作者の心情の理解が深まり、興味が増し、面白く読めた。

【「アレハンドロ・アメナーバル監督作品論」(2)小原優】
映画「アザーズ」(2001年)と「オープン・ユア・アイズ」(1997年)の作品について、その技法や精神が語られている。どちらの作品も見てはいないのだが、映像テクニックの解説が絶妙で、思わず小説の表現技術と比較しながら読んでしまう。創作一般に参考になる普遍性をもっているのが、ひとつの風格となっている。

【「観覧車」森野こと】
弟の僕が兄に遊園地に連れて行ってもらう。兄弟でそこで過ごす様子を弟の視点で描く。なぜか兄弟二人で生活し、弟の面倒は兄が見ているらしい。遊園地で遊ぶ様子を描きながら兄弟の愛情を表現し、かつ兄と弟それぞれの寂しさと孤独が透明感のある描写で表現されている。フランス人画家にヂュフィとかいう画家がいたが、軽快さのなかに寂しさを含む水彩画のような遊園地の描写が魅力的。

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