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2007年8月24日 (金)

「白雲」第24号(横浜市)(1)

短歌と俳句が多い。しかも、それら詠み手は、いずれも熟達の手練が感じられ、ざっと読み通しても強い印象を残す。

【詩「未青年」中谷江】
ニヒリズムに陥りがちな若き日の苦悩の時代。晩年を迎えて、再び青春時代の苦悩に向かい会おうとする精神を語る。青い虚無と褐色のような虚無のイメージの転換。時代を経た人間の虚無の変質が読めて面白い。

【「銀次郎の日記―高品町の丘の上」青江由紀夫】
銀次郎の1週間の生活は、月曜から木曜日までを、東京文京区の職場に近いワンルームマンションで、金曜から日曜日までは、千葉市若葉区高品町の居宅で過ごしている。都会と千葉駅近くの郊外?との地域の違いを描く身辺雑記。文筆による青雲の志を抱いた銀次郎の遺志を記した墓碑をここに建てることを夢想しているらしい。(まだ、それは早すぎるような気にさせるが……)。何年も前の話だが、作家・伊藤桂一師に小説の批評をしてもらった時に、「まだまだ、努力が足りない」といわれ「いや、わたしも歳のせいか、生活上の仕事で疲れることが多く……」と言い訳をしたところ「なにをいうか、僕に比べたらまだ子供か弟のようなものだ」と叱咤されたものだ。実際に師は、兵役から帰還し、作家として売れるまで編集者などの仕事をしていた。その師も、90歳。しかし、今でも、合評会に一人で現われ、我々と居酒屋や喫茶店で雑談に加わってもらえる。頭脳明晰、驚異的な健在ぶりである。

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