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2007年7月17日 (火)

「法政文芸」第3号が発行される

 法政大学国文学会は、「法政文芸」3号を刊行した。巻頭エッセイに、文芸評論家・秋山駿氏の「東京に悪の華を」がある。内容は昔、上海を魔都としたが、現在は東京が魔都であるとし、しかしながらボードレールの「悪の華」のような退廃美としてそれをとらえる文学がないと嘆く。懐かしくも、もっともな橋である。
 最後に詩人ランボーの「ああ、季節よ、城よ/無疵なこころがどこにある。」が好きだという。
 
 これは「幸福」という作品だが、自分はたしか、「ああ、歳月よ、あこがれよ/誰か心に疵のなき?」とかで、堀口大学の訳がなつかしく思いだされた。ランボーには、たしかに詩文学のエキスがある。

 特集は、「ヤングアダルト」で、児童文学の作家、笹生陽子さんへのインタビューが面白い。書店にヤングアダルト(YA)のジャンルが出来たので、「楽園のつくりかた」という作品が良く売れたという。実情として、大手出版社の賞をとって、最初のデビュー作で、どのくらい出るのかという、質問に「私の場合4000部でした。半年から1年もかけて、書き直しに時間をかけて、結局お金は30万から50万位が印税で入って、それで終わり。」その後普通は増刷もないし、次の依頼がこない。それが普通だという。
 文芸文化としての作家としてやるには、他の仕事で収入を得ながらやらないと無理だという実態がしめされている。


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