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2007年7月22日 (日)

「文学街」第238号(東京)作品紹介(2)

【「本卦還り」白石すみほ】
60歳を過ぎた女性が、高校生時代の同窓会に出席する。一度目の同窓会には、青春時代に主人公から彼氏を奪った女性が、派手な生活の様子を見せびらかすように、示威行動的な言動で、出席者の目を奪ったものだった。この彼女こそが、当時一度は愛を交わしたことのある主人公の恋人、中村勘太郎を奪い「もう、あたしのものだから」と宣言した女だったのだ。今年はしかし、彼女は同窓会に姿を見せなかった。すると、かつて主人公を裏切った勘太郎が接近してくる。そして青春時代の情を交わすところで終わる。黄昏に入る前の奇妙な明るい時間帯を思わせる。洗練されたところのある巧い作品である。

【「娘のつぶやき」古倉節子】
童話。娘からみた家庭での父親の振る舞いに感じる違和感を、ユーモラスに描く。父親をただ批判的に描くことなく、家庭的な温かさのなかに、表現してるのがおおらかで、面白い。

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