小泉今日子の5月日曜書評
《読売新聞5月6日》今週は、桐江キミコ「お月さん」(小学館)。《それでも生きている》12編の物語の登場人物はみんな、「すこし悲しくて、少し変わっていて、少し痛々しい」という。「結局、私の胸の意地悪で残酷な棘は、そういう中途半端な優しさなのかも知れない」。優しさの中にある残酷さに言及するあたり、文学的だね。「この本を読み終えた時、いろんな人の顔を思い出した」「私の記憶の中では誰もが楽しそうに笑っている。そんな顔をたくさん思い出したら胸がほんわり暖かくなって、自分が許されたような気になった」。
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