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2007年5月19日 (土)

「季刊遠近」第31号(東京)作品紹介(1)

【「茶の間の柱時計」難波田節子】
小学校の校長を退職してから25年、85歳の為吉。主人公「芳子」は嫁で夫と共に暮らす。為吉は、耳が遠く、痴呆になるのを警戒して暮らす。姑はすでに亡くなっている。そこに夫の姉の亭主が泊まりに来る。医師をしているので学会の集まりで上京してきた。癖の9ある男で、芳子は苦手にしている。夫はいつも夜が遅い。早く帰るように頼んでも、自分も義兄は苦手だと芳子を助ける気配がない。泊まりにやってきた義兄と舅のやり取りを描く。一日内をそれぞれの人物像を手際よく浮き彫りにさせていて、一幕物家庭劇を観るようである。表現がおだやかで優しく、そのなかに皮肉の聞いた視線で市民生活の現状を観ているところが味わいどころ。

【「故郷物語よりー穴」木野和子】
元判事の隠居老人と妻が大きな屋敷に住んでいる。使用人の老夫婦がいたが、息子に引き取られてしまい、その後釜に70歳の坂田トヨノと40歳になる知恵遅れの娘、小百合がやってきて、主人様夫妻の面倒を見ることになる。痴呆症の元判事の妻は亡くなる。そのご小百合のお腹が膨らんできて、元判事が小百合を妻にしたいと申し出る。こうした経緯を昔物語風に描く。刺激的な題材の割には、和風菓子の風味のような味わいがある短編。メリハリがあって、作中世界に引き込む力があり、面白く読んだ。

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