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2007年5月22日 (火)

「季刊遠近」第31号(東京)作品紹介(3)

【「流れのままに」逆井三三】上杉謙信なきあとの藩体制維持にからむ歴史小説。藩主・上定勝の家老・長尾忠重は、定勝が亡き後、当時流行っていた、殉死する立場にあった。定勝は藩主として、特別な手腕があったわけでもなく、長尾は好きでもきらいでもなかった、という設定が面白い。世間の視線をおもんばかって腹を切る馬鹿らしさを長尾の視点から描く。いろいろ不満を感じながら、長尾は腹を切って殉死してみせる。見事に腹を切って世間的な喝采を期待する例や、腹を切らずに悪評うける例も示して、面白い読物であった。

《余談》話は飛ぶが、同人誌「季刊遠近」の合評会に、出席させてもらったことがある。6年位前である。ちょうど情報紙「文芸研究月報」を発行して間もない頃で、遠隔地にいる会員から東京の同人誌には、どんなものがあってどんな風にしているのか、知りたいという問い合わせがあった。当時から、「砂」という同人に所属していた。この会は、出入り自由ではあったが、他の同人誌との交流がまったくない会である。そこで、他の同人誌はどうなのか、「季刊文科」に掲載されていた同人誌広告を頼りに出向いていった。そのときに難波田さんと知り合った。他の会員のひとから、同人誌は交換しているから沢山入手できている」と伺い、「サンゾー書評」存在を知ったのである。そうして得た知識を、月報に反映し、連絡先も載せた。そのためかどうかはわからないが、かなり遠隔地の人から入会したいという手紙がきたそうである。

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