「淡路島文学」07年4月創刊号の作品
農民文学賞作家の北原文雄氏が中心となって淡路島文学同人会(〒656-0016兵庫県州本市下内膳272-2)を結成し、創刊号を発行した。「わたしたちは淡路島文芸を応援します」というメッセージ広告が、ホテル・ニューアワジ木下圭子女将、クラモト皮膚科院長、淡路信用金庫理事長、仲野耳鼻咽喉科院長、富賀見周彦税理士事務所長、溝上眼科院長の連名であり、頼もしいところがある。淡路島に地縁のある人の同人参加を呼びかけている。年会費5千円。
【「空を泳ぐ」望月廣次郎】
若いお坊さんの性的な夢想や現実的な女性関係をストーリー化したもの。牧歌的、素朴な味がある。坊さんが極楽浄土などを信じていないまま、法事で経を上げる現実。僧籍と女性の関係など、テーマと提示しながらそれにこだわる様子がなく、ストーリーになっているが、読み物から出ないで終っている。
【「それは空からきた」宇津木洋】
断片的なものや小説的なものなど自由に書いた散文と思いきや、現実から遊離した意識をとらえたり、会社勤務で出会った女性への不思議な親愛な感覚をとらえている。ひとことでは言うに言われぬ感覚を意識化しているところが作品として読みどころを持っている。特に、最終章の「見るという単純な行為」は、哲学的な手法というには大げさだが、見ることを題材に文の芸にしているところが面白い。
(つづく)
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