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2007年4月26日 (木)

詩 「ハルジョオンに」 江原茂雄 「眼」 第20号より

 紹介者 江 素瑛(投稿)
              ☆

 ハルジョオンに      江原茂雄

 君たちは/なぜ白く咲くの?/君たちをふり向く人はいないのに/白い君たちの花の中に/ところどころ/ピンクの花があるのはなぜ?
 
 目立たない君たちの中で/せいいっぱい目立とうとして/咲いているはなぜ?

「春紫苑」――。この詩を読んで、初めて春ごろにどこでもあり、見過ごしたこの花に気づきました。
 調べてみましたら学名はErigeronという、 キリシャ語の  eri は「早い」、 geron は「老人」との意味で、早春に咲く、老人の白い柔らかい髪のような毛に覆われた花。
 北アメリカ原産、大正時代に園芸植物として東京に渡来の春紫苑、大正草とも呼ばれます。今は、土のあるところであれば、かならず生えてきます。園芸ところか、雑草同様の花であります。
 キク科、沢山糸状の小花の集合でなった花。茎中空、葉は茎を抱く。つぼみは濃いピンクの花序、開花前はうなだれが特徴で、開花すると白、薄桃色、薄紫色、ピンクなどになります。
 江原さんだけでなく、雑草を題材にする詩人には、西脇順三郎もいる。
 せいいっぱい目立とうとして/咲いているのはなぜ?
 昔の栄光を取り戻したいのでしょうか?観賞植物の格をもう一度認めて貰いたいのでしょうか。平和時代の帰化植物は、この混迷の時代ではなにを意味するのでしょうか?価値観がどんどん変わります、雑草が見直される時代かも知れません。

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