「文芸中部」74号・作品紹介(2)
【「ゲンショと船乗りの末裔」濱中禧行】
昭二という老人の先祖は北前船の船主だったという。そこで、先祖の痕跡を訪ねる旅に出るが、そこで夢とも現実ともつかぬ、さまざま体験をし、良い思いもするらしい。いってみれば実現してはならない情愛「萌え」の世界の物語のようだ。いいところもあるものの、幻影でも実現してしまっているのが、余韻を短いものにしているような気がする。
【「闇の語部」蒲生一三】
歴史的な稗田阿礼の物語。ミクロ的な世界から語られるので、歴史的事実以外になにあるのか、わからず。苦手。以前に私はよく、「この作品でなにが問題なのか、先に提示して欲しい」というと「そういうことを言うのは文学がわかっていない」と反論されたものだ。でも、わからないと、なにも理解できないので仕方がない。
【「にわかに大雨ありき」藤澤美子】
危篤状態のまま入院している父親が息をひきとる瞬間を、別の場所で知る状態を描いたもの。短いが緊迫感とその微妙な意識がよく表現されている。キリストの最後の言葉「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と父の末期のつぶやき「二二が四、・・・」が符合するようなところが、意味を深めている。あれもこれもと表現を欲張らず、短く絞りきったところが良いと思った。
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