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2007年3月 7日 (水)

「文芸中部」74号・作品紹介(1)

【「原発ジプシー異聞」吉村登】
まず、死者による独白であることが知らされ、その死に至った原因が原発清掃作業の仕事にあると思わせることから、読み手の好奇心をそそりながら、死に至る過程をのべていく。
原発の現場作業員という仕事が詳しく描かれているので、どこかで取材したのかも知れない。しかし、描写はリアルであるが、必ずしも事実に即したものと受け取る必要がないように描かれている。
つねに見えない危険や不安、病気や事故、犯罪に囲まれて生きている我々の生活と隣合わせの情況に通じる工夫がしてあるようで、それが、この作品を優れて文学的なものにしている。油絵で言えば、下塗りが死の色であり、そこに生の存在感をさまざまに上塗りするが、それによって下塗りの死の色はますます強く浮かび上がってくるようなものである。
具体的には、原発の作業員は、放射能被爆を恐れて、従事する人が少なく、結局それを専門にして生計を立てざるを得ない労働者の姿が描かれる。夫婦とよく素性のわからない若者、老人たちを描く。ちょっと横光利一の「機械」を思わせる雰囲気がある。しかし、それは紛れもなく現代の不安とあきらめのようなものが感じられ、まざに、現代人が考えることを避けている現実を、形にして見せているように読めた。
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