「頌(オード)」26号より(1)
「創作と批評」という副題のついた瀟洒な?同人誌である。
詩で、佐藤裕「犀川のほとりで」がある。100年前、少年の室生犀星がここで寺男をして過ごしたという話にからめて、文学の土壌の非生産性を示す。
「百年が経ち サラリーマン小説家や詩人が輩出し/己の人生を 才能に託さなくなってから 久しい」
というフレーズが懐かしいーー。
ひと昔前は、自分の才能に疑問をもって、進むべきか、退くべきか自問自答する創作者の精神の現れた作品が少なくなかったように思う。現在の同人誌で見る限り、みな妙に自信満々、じぶんの才能に疑問を持たないように思える作者が多いようだ。それだけ、文学に芸術性を求めることがなくなったということであろうか。売れればよいとする精神の産物は、芸術とは無縁であることは、ここで再三のべているが、100年前は芸術性があれば認められるという価値観あったということを認識させられる詩であった。
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