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2006年11月26日 (日)

「胡壺 KOKO」第5号(福岡市)=発行・花書院

【「タイドプール」柳川裕子】
おれは、アルバイターでモイ子という女性と同居している。男女関係があったことはあったようだが、彼女は目下、銀行の課長と交際しているらしい。おれは尿漏れが止められない病気で、夜尿症の常習となっている。そのため、年中尿の臭いと縁が切れない。読者としては、理論的にオムツバンツをしないのが不思議だが、そうしたら書く意味がないのであろう。生活する部屋の下の部屋の子どもの騒ぐのが、うるさくて、迷惑な様子が描かれる。これも、理論的には上の階の方が自然だが、これも、下の階でなければならないらしい。設定は面白いが、作者の伝えたいことが、よくわからず、ベータバージョン的作品に読める。むずかしい小説の書き方を好むのか、それとも感覚的なものを表現で追っていったらこうなったのか。セリーヌやジュネを読む書き手のようなので、その影響?

【「水を掻く水母」桑村勝士】
違法な刺し網漁業をしなければ生活できない漁師とそれを取締まる管理員との葛藤が描かれる。文章の歯切れがよく、テーマも明快。商業雑誌にのっていても、おかしくない程の完成度をもつ。余計な色模様もつけずに、テーマに骨太に取り組んで、力強い。生活の色に染まった海というのは、部外者が眺める海とは、色がちがって見える。夜の海となれなおさらである。それが見事に描かれている。読んで気持ちがよい。と、感心するのは私だけでなければいいな、とも思う・・・。

【私の気ままな愛着本紹介・パノス・カルジノス著「石の葬式」・納富泰子】
熱のある作品紹介と批評で、是非、読みたくさせる。文章に弾力があり、惹きつけられる。こうありたいもの。

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