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2006年9月 7日 (木)

「孤帆」vol.10( 東京都・小金井市)作品紹介-2-

【「ヘルメットの住人」奥端秀彰】

バイク便の若者が、都内を宅配する過程の道中記。ヘルメット内に携帯電話が自動交信できるようになっているのがミソで、外部との交渉は見えないところにいる、彼女や妹やこわもてのお兄さんなど。そこで宅配途中に児童虐待の母親にでくわす事件がからむ。かなり面白い。バイク便の仕事の様子が生き生きと描かれている。手法の開拓に成功している。この手法で、ミステリーも出来そう。

【「迷子のドライブ」淘山竜子】

 育江の思春期の時期に、父親が離婚し、再婚したのが久子であった。社会人となった育江は久子にその時期の恨み言を伝えたく、電話をするがつながらない。作品はそうした気持ちになる育江の大学生活の延長のような、職場生活が語られる。そこで知り合った彼氏との関係の過程で、彼の車に乗って久子のところに行き、鬱屈した不満を久子に伝える。とりたててストーリーというほどのことはなく、日常が文芸的に工夫して描かれている。目先的には、彼氏との関係にも足を踏み込めない、その曖昧さが、主人公の不安、心もとなさに通じている。リアルであってリアルでない、ところに味がある。

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