鶴樹の「肉体の変奏」-41-
「何を言っているの……? あの人がゴミのように無価値だとでもいうの。あんた、おかしいわよ。気がつかなかったわ。このじいさん、おかしいわよ。ぼけているの?……」
由美が叫んだ。
「うるさい。この博士の言うことは一理ある。おい、モーリス。この女を黙らせろ」鈴木が苛立って言った。
「事のいきさつは判った。それじゃ、博士よ、最高の頭脳をもったゴリラ、デラ夫人に会わせてもらおうか。彼女は何処に居るのだ? もうそろそろトラックが来る頃だ。それを使って皆を移動させる」
「そうはいかない。彼女は死んだよ。頭脳交換の技術は、門外不出だ。オードリン博士がこの資料を入手しても、われわれのレベルに達するには4、5年はかかるだろうな。肝心なところは、わたしの頭の中にある。彼の動機は不純だ。見そこなっていたよ」椿博士は、急に不機嫌になった。
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