2009年7月11日 (土)

文芸同人誌評「週刊 読書人」(09年6月19日付)白川正芳氏

野口存弥「太宰治と菊田義孝」(「群系」27号)、江橋瑞枝「父・十八年ぶりのクラス会・エキストラ・財布・息子」(「窓」26号)、藤澤茂弘「名古屋のどえりゃー男 山田才吉物語」(「じゅん文学」59号)、森谷篁一郎「『自分の本領』に飛び移れない」(「米子文学」55号)、山中光一「言葉を考える」(「青稲」82号)
上坂高生『ベレー帽の行方』(武蔵野書房)収録の短篇「過日」などをまとめた「蕗の薹」(「碑」92号)
田中きわ子「旅人 海へ放つ(尾崎放哉)」(「ハマ文芸」40号)、「みちくさ」2号より「特集 鴎外と藤村」、清水信講演「満点の星の下」(「北斗」5月号)、永久ひさ子「読書会記録海辺のカフカ」(「ふくやま文学」21号)。(「文芸同人誌案内」掲示板・日和貴さんまとめ)

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携帯の「電子雑誌」で「AERA」、「SPA!」、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド)など参加

 電通は8日、国内で出版されている雑誌のコンテンツ(情報の内容)を「電子雑誌」として携帯電話に有料配信するサービスを今夏から始めると発表した。これまでも自社コンテンツを独自に配信する例はあるが、異なる出版社の雑誌をまとめて配信するのは初めて。講談社や小学館、新潮社など約20社が参加する予定だ。
 サービスは、米アップル社の携帯電話「iPhone(アイフォーン)」の利用者向けに始め、他社の高機能携帯(スマートフォン)にも拡大する。電通とソフト開発会社のヤッパ(東京都渋谷区)が共同開発した雑誌を閲覧するためのソフトである「MAGASTORE(マガストア)」を携帯サイトから一度ダウンロード(料金115円)すれば、雑誌の最新号やバックナンバーを115円~600円程度で購入できる。参加が決まっている雑誌は、「AERA」(朝日新聞出版)、「SPA!」(扶桑社)、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド)など約30誌。(09年7月9日 読売新聞)

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2009年7月10日 (金)

作家・林真理子さん,脳科学者の茂木健一郎氏の講演も,「第16回東京国際ブックフェア」

「第16回東京国際ブックフェア」が7月9日~12日まで4日間にわたり東京ビッグサイト(江東区)で開催されている。今年は世界30カ国から800社が出展し、過去最多となった。
 基調講演もあり9日には、評論家・作家として活躍する姜尚中(カン・サンジュン)東京大学大学院教授が『「悩む力」で“現代の古典”を発掘する』をテーマに満員の聴衆を集めた。11日には、作家・林真理子さんが『素敵な人生を送るために~「読書」の楽しさ。大切さを伝えたい~』、12日には脳科学者の茂木健一郎・ソニーコンピューターサイエンス研究所シニア・リサーチャーによる『茂木流「読書のすすめ」』の講演もある。

 また、デザイン関係者には、第43回造本装幀コンクールの入賞作品の発表展示会が関心を集めていた。一般の読書人向けには、洋書バーゲンコーナーや(株)八木書店と第二出版販売(株)の開催するバーゲンブックフェアなどが人気。また、有力出版社の割引セールもあり、ついで買いする入場者も少なくない。
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 同人誌「安藝文学」77号(広島市)

【「孫たちの夏休み」望月雅子】
 エッセイである。春休みに娘と孫が帰省してくる。迎える筆者は、生活習慣病が重くなり、糖尿病、自律神経失調などで多量の薬を飲み、病に振り回されるようになっている。賑やかであるが「近所のお好み焼きを取り寄せ、買い置きのもので夫と娘・孫がテーブルを囲むのをも私は眺めるだけだ。糖尿の私は、あまり食事がとれない」と書く。
 恵まれた家庭環境にあるものの、老いてかは共に暮らすという家庭生活の外部環境と生活の質が変わりゆくさまをじっと見つめて描く。歯がゆい思いとあきらめの入り交じった老境をあらためて見つめさせる。

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西日本文学展望「西日本新聞」6月30日朝刊 長野秀樹氏

題「戦う男たち」
古屋陸夫さん「鯛供養」(第七期「九州文学」6号、福岡県中間市)、山口碧さん「田舎教師」(「詩と真実」720号、熊本市)
「九州文学」より、たぢからこんさん「蟋蟀」、椎窓猛さん「気まぐれ九州文学館(六)」、高尾稔さんと黒木淳吉さんの追悼小特集
「西日本文化」439号(福岡市)は「『生誕一〇〇年作家』を読み返す」として、松本清張と太宰治を取り上げ、昭和21年に「文学展望」(福岡市)に掲載された太宰「十五年間」を復刻。(「文芸同人誌案内」掲示板・日和貴さんまとめ)

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2009年7月 9日 (木)

同人誌「雑木林」第12号(枚方市)

 エッセイを主体とした同人誌なのであろうか。事務局の「あとがき」では、前号の11号は、逝去した北川荘平講師の追悼号で、今回は尾田玲子会員の追悼号となったとある。現在7人の会員が毎月の例会に参加し、文章を書くことの意味をさぐっているという。本誌は年に1回発行しているもの。
【「デスマスク」三木祥子】
 96歳の姑が老人療養型病院に入院している。三年前から入所したが、間もなく認知症になり今は個室で意識混濁の状態である。その姑のわがままさに嫁として仕えてきた日々の思い出が語られる。そのなかで亡くなった姑のデスマスクを描く。
 姑の理不尽な行為と、我が侭な言い分に苦しめられ、心を傷つけられて暮らしてきたものでないと、書くことのできないさまざまな細かいエピソードが真実性をもって語られる。
 その意味では、これから姑をもつ立場や、同じ経験をされてきた女性には、女性が、母親から姑になるという現象のある標準的な姿を知ることが出来、非常に役に立つ参考書になっている。
 筆者はこの介護における姑の身勝手さのためにうつ状態にもなったようだが、ここでは、夫が良識人で冷静に嫁と姑の関係を理解し、妻に対する心使いがあり、さらに経済的な余裕が感じられる。世間一般の嫁さんから「まだまだ、私のほうがひどい目にあった…………」という声も出るかもしれない。
 同時に、かつては息子を良識人に育て上げた姑が、もとから特別に意地悪な人間性をもっていたわけでなく、普通の母親から嫁に向けて、傍若無人なイジワル婆さんに化けてしまった様子が読みとれる。
 それにしても、通常はなかなかこのような話は、感情的になって冷静に記録できないものだが、介護生活のストレスのそのトラウマをよく克服して、冷静に記録することをしたものだ、と感心する。
 書くという行為が、自分の感情にとらわれた心境と一定の距離をとり、他人の視点を持つことによる自己客観化の効果を生むようだ。自ら精神を鎮魂させる効果があるのではないか推察される。

【「生き物にご用心」安芸宏子】
 大阪から茨城の神川という町の義妹の家を訪問する話。自分の母親の実家がやはり茨城なので、読んでいて、なんとなく地域の風土が感じられる。茨城には関東平野の中のあらゆる農作物の栽培が可能な豊穣な土地柄の鷹揚な部分と、地域の情報伝達網が独特の発達をし、隣町のことでも手に取るように把握するという明治時代以来の独自の風土性がある。書いてあることからは、そうした風土の匂いが漂うが、書いた本人にはまったくそのようなことに関心がなく、ただ羅列的に書きまくっている状態が面白い。もっと、身近なありふれた出来事をこの作者が思うように書くと、おのずと個性的な読み物になるのでないかという、天性の持ち味を感じさせる。
発行所=〒573-0013枚方市星丘3-10-8、安芸方「雑木林文学の会」

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2009年7月 8日 (水)

第八回文学フリマ参加記念刊行本「詩人回廊2009」の経過

「第八回文学フリマ参加記念」として5月1日に刊行した「詩人回廊2009」(500円)の販売が約50冊を超えた。本誌は原則として会員に配布する以外は、無料で配ることはないので、すべて実売数であり、人件費を除くと、制作費の回収は順調に推移している。
 この本の制作のために簡易紙切断機、布テープなどを購入。カラーコピー、モノクロコピー代がほとんどである。あと、元会員で以前会費を払ったままに人への通信費。活動再会のDM切手代などである。
 買っている読者層は、同人雑誌関係の人たちはごく少数で、ほとんどが一般人である。販売担当会員の話によると、「自分は芥川龍之介の全集を読んでいるが、ここに掲載されているものは読んでいない」という人。「岡本かな子の作品『愛』というのはいいが、あの人はまだ生きているのか?」という人。「夢野久作は知っているが、『猟奇歌』なんてこんな短歌を詠んでいるとは、さすが変人だと再認識した」という人。また、会員の知り合いは、芥川龍之介の載っている本に作品を書くなんてすごいね」と、モノ珍しもの買いで、編集人の意図が当った事例などが見られる。
 また、「薄いので旅行に持って行って、列車のなかで読んだが、どれも現代の人が書いたような」時代を超えた現代性を感じ、なによりも面白い」という反響もあった。
 編集人としては、今回の「詩人回廊2009」の読みどころの柱は、中原中也の「散歩生活」であった。かなり文学好きの人でないとわからないものなので、売れなくても仕方がないという気持で、編集人の独断的な精神を盛り込んだものになっている。
 会としては、これまでISDNの図書コードの取得をするなど、発行物の自主流通の準備をしてきたが、今回のアナログオンデマンド制作本「詩人回廊2009」の製作・流通の実験によって、当初から100部程度の部数であったなら、クチコミや会員の事務所受付に置いてもらう協力販売などで、わざわざ経費をかけてまで図書コードをつける必要がないのではないか、と思うようになった。

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2009年7月 7日 (火)

同人誌「安藝文学」77号(広島市)

【「原爆・おぼえ書」文沢隆一】
 アメリカの投下した広島への原爆がウラン型で、長崎に投下したのはウラン型であることなど、原爆の製造法とその威力について、くわしく解説している。これによって、米国が日本人を対象に核爆発の威力の人体実験を行ったことが、明確に示されている。
 同時に、米国は日本軍の真珠湾攻撃を、日本への原爆投下の免罪符としていることについて、民衆への計画的な無差別虐殺とは、意味がまったく異なり、米国の原爆投下が国際条約違反であることを示唆している。
 こうしたアメリカの意識は、イラク戦争における劣化ウラン弾使用の、民衆への無差別虐殺攻撃によって、国際条約違反がいまだに続いていることを強く思い起こさせる。こうした事実を、幾度でも繰り返し記録するというのは、同人誌の果たす有意義な使命であろう。

 世界の話し合いを提唱するオバマ政権で、米国は軍事予算を4%増やしている。口では平和を説いていても、経済構造が戦争を必要とする構成になっている。どこかに敵対する国をもっていないと、不安なのである。彼らにとって、イランと和解することなど、とんでもない話である。その言動は偽善に満ちたものにならざるを得ない。戦争に使う爆弾は消費だけが約束されるもの。作りすぎても、また戦争をすれば、そこに消費が約束されている。経済活動の麻薬中毒のようなものである。10年以内にアメリカはどこかで戦争を始める可能性をもつ。そうしないと軍需関係の会社は倒産し、多くの人が職を失うからである。現在でも失業者は軍の志願兵となって収入を得ている。国費を爆弾で消費するのでるから、増税が必要で、その後は大不況がくる。ベトナム戦争の後、日本のバブル経済が、NYのビルを買収するまで、経済は疲弊した。わかっていても、イラク戦争後の不況に苦しむ米国民の誰が戦争に反対するというのだろうか。

【「はたちの茎立ち記」梶川洋一郎】
 定年を控えて、その前に地域の警察署の署長に就任し、そこでの警察署の日常の出来事が詳しく描かれている。キャリア組でない警察署の署長の視点を通して、その内部事情が具体的なのが面白い。「一灯照隅」という高邁な理想と現実の狭間を指揮する署長の奮闘ぶりを描く。地域貢献に力をいれるまじめなノンキャリア公務員の姿を通して、警察の仕組みの問題点も、作者の意図とは別に理解できる。貴重な報告でもある。

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2009年7月 6日 (月)

「伊藤桂一文学碑」を建立!8月23日92歳の誕生日に除幕式=四日市

直木賞作家「伊藤桂一文学碑」を建立へ!郷土の四日市で=三重県027
 今年になって、四日市で文学碑と像を建てるという噂を聞いた。銅像でも建つならバルザックなみである。4月と5月にお会いした時に「先生は像も建つのですか?」と訊いたら、「ばかいっちゃいかんよ。政治家じゃあるまいし。そういうのは、いらんといってるのだがね。」という。像でなく碑を建てる話がきているのだという。
 地元の文化人の団体と有志が寄付と、四日市の協力で碑の建設を進めている。地元の関係者によると、市は文化的活動には好意的だが、何かを建設するというのには、なかなか消極的だという。そこで、農民文学会や「グループ桂」教室の弟子、文芸同志会なども寄付活動に賛同参加している。
 伊藤桂一氏の私小説には、自分を要助と称する作品が多い。四日市についてには「日帰りの旅」という小説がある(「群像」1992年5月号、日本文芸家協会編「文学1993」収録)。
 その中に『県の芸術文化協会の事務局長をしている鳥井さんと、かれの後輩の北本君が迎えに出てくれていた。』とあり、報いを期待できない文化活動に尽くす地元の人に感謝と同情をする場面がある。
 前半部では『要助が六歳の時、その寺を追われるようにして出てしまったので、寺そのものとは関係が一切切れてしまっている。ただ、父親が住職であったため、寺の境内脇にある「歴代住職之墓」に、父は葬られている。天台宗の寺院というのは、住職だけが「歴代住職之墓」葬られ、家族はその寺に葬られることがない。別な、村の墓地に、墓をつくるのである』というところがある。

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2009年7月 5日 (日)

文芸時評・6月(東京新聞6月30日)沼野充義氏

タイトル=村上春樹「1Q84」技術と熟成あいまって/松本智子「優れた文章感覚と骨格」
《対象作品》村上春樹「1Q84」(新潮社)/小野正嗣インタビュー「誰のために小説は書かれるのか?」(すばる)/金原ひとみ「ジビカ」(文学界)/松本智子「法螺(ほら)ハウス」(群像)/町田康「尻の泉」(新潮)/川上三映子「すばらしい骨格の持ち主は」(同)。

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